毎日新聞の第2?4火曜夕刊で、大学生が記者として執筆した記事やコラムなどを展開する「キャンパる」は、今注目するトピックを独自取材した学生ならではの視点が光る人気の紙面です。
本学政経学部政治行政学科3年の太田響さんは、この「キャンパる」で、2021年から学生記者として活躍しています。コロナ禍をきっかけにこの世界に飛び込んだという太田さんに、活動の経緯や現在の思いを聞きました。　＜2022年9月13日取材?世田谷キャンパス＞

「大学受験中に将来について考えていて、映画や小説に出てくる新聞記者が熱量を持って仕事をする姿に憧れを持ったことがありました。でも受験に追われて、いつのまにかそれも忘れていて」
そう振り返る太田さんでしたが、入学時はコロナ禍の真っただ中。厳しい行動制限により勉強も課外活動も不完全燃焼で、ストレスの溜まる日々が続きました。
「とにかく何かしたい！と焦っていたときに『キャンパる』の記者募集を知って、この仕事に興味があったことを思い出したんです。すぐに応募しました」

そうして大学2年の秋から学生記者としての活動をスタートさせた太田さんは、これまでに生活困窮学生や途上国への支援を行う学生団体、視覚障害を持ちながら行政書士として活動する現役大学生など、地道な営みを続け活動の場を広げる同世代を取材した記事を世に送り出しています。
記者にとって、記事が紙面に掲載されるまでには企画出しや執筆など数多くの業務がありますが、その中で最もやりがいを感じるのは、インタビュー取材だと太田さんは話します。
「緊張しますが、自分が楽しんで向き合うことで相手の気持ちもほぐれていい話ができるので、取材内容に対してモチベーションをあげてインタビューするように心がけています。でも、それを記事として仕上げるのは難しくて、もっと読者に伝わる、ストーリー性のある記事を書きたいといつも試行錯誤しています。最近興味があるのがルポライティング。今、起きていることをリアルタイムで取材しながら、現場のよりリアルな声を届けて、社会貢献度の高い記者活動ができたらと考えています」

国内外の社会情勢へ向ける視点は、本学での学びからの影響も多いようです。
「授業では、刑法やアメリカ地域研究に興味を持って学んでいます。LGBTQや人種問題、銃規制など目を背けられない課題が多くあります。鈴木佑記准教授のゼミで取り組んでいる東南アジア地域研究では、タイの書籍を読んでパワーポイントにまとめたものをゼミ生同士で発表しあうのですが、本の内容を咀嚼してわかりやすく説明する作業は『伝える』という点で記者の仕事にも通じると感じます。国士舘は自由な雰囲気があって、先生になんでも相談できる風通しの良さがとても気に入っています」

学生記者としての活動や大学での学びの合間をぬって、趣味のロードバイクで京都や九州、函館まで走破する行動派の太田さん、卒業後の進路については模索中といいます。
「記者にこだわらず、いろんな世界に目を向けたい。どんなことでも仕事に熱量を持って向き合える社会人になりたいと思っています。記者としても学生としても『伝える』ことの大切さを実感しているので、この経験を将来に生かしていきたいです」